京都パイルの誕生②

 新しい事業所である黒門通一条下ルは着物で有名な「西陣」と呼ばれるエリア。西陣は通りの幅が狭く、家と家がくっついているので、荷物を積んだトラックで走ると、軒先や庇を擦ってしまい、よく屋根や壁を壊してご近所さんから叱られました。

当時、社長はまだ学生だったので、日曜日だけ雑用の手伝いをやらされていたそうです。

 

「もろびた」って分かりますか? もろびたとは福井の言葉で、餅や蕎麦玉を載せる木製の箱のことを言います。もろびたに新聞紙をひいて、脱水後のまだ湿ったパイルを手でほぐしながら干すんです。それを棚に重ねていき、一番下に火を起こした練炭を並べて乾燥させていました。練炭の火が強すぎると、新聞紙が焦げて、パイルも炭になってしまうので、燃えないように気をつかいました。炭になった練炭のカスを一条通りの水たまりに捨てていたのを何故か鮮明に覚えています。

 

手伝いそのものは面白くなかったのですが、家から工場に行くのに、当時まだ珍しかった自家用車に乗せてもらって行くのがとてもワクワクして楽しみでした。自家用車と言っても空色のダットサンでしたが、それでも車に乗せてもらってるだけで自慢のタネでした。今の故障の少ない車からは想像もできませんが、バッテリーはすぐに上がってしまうのが普通でしたし、昨日まで機嫌よく走っていたのに、翌朝にはウンともスンとも言わないなんてことは、しょっちゅうでした。

 

アルバイト代も貰えないのに、埃にまみれて手伝っていました。でも、それが当たり前でしたし、そういう時代でした。

 

京都パイルの誕生①

京都パイルは昭和32年2月に東堀川の地で誕生しました。初代社長は玉村辰美。現在の社長の父です。

 

創業当初は「京都パイル繊維工業所」と「揚原織物工業株式会社 京都出張所」の2つの看板を掲げていました。なぜ揚原織物の京都出張所だったのかというと、初代が創業前に福井の繊維業界で働いていた時にお世話になった関係でご縁があり、揚原織物が作るベルベットのショールの販売を受託していたのです。そして、京都パイルが作るパイルにも揚原織物は深くかかわっていました。

 

揚原織物がベルベットを作る過程で繊維粉が生じており、これは廃棄物として焼却処分されていました。これに初代が目をつけて、繊維粉を染色して電着処理すればパイルになるのでは?と考えたのです。目論み通り、繊維粉はパイルに変身! これが京都パイルの始まりだったんです。

 

また、初代は正規価格では流通できない人絹糸(レーヨンのこと)の規格外品にも目をつけ、これを安価で調達して、パイルに加工しました。

廃棄物や規格外品を原材料としていたので、非常にコストを低く抑えられ、質が良くて安価だというので京都市内や大阪のお客さんが増え、さらに香港からもオーダーが入るようになり、東堀川は手狭となったので、昭和35年に事業所を黒門通一条下ルに移転しました。

 

新しい事業所は京都市内に多い、間口が狭くて奥行きが長い「うなぎの寝床」でした。材料や製品を肩に担いで表と奥の行き来をせねばならず、当時高校生だった社長は肩が痛くて、この手伝いがとても辛かったのを覚えているそうです。今はハイリフターという便利なものがありますよね。これが当時あったらな~。

 

繁忙期突入

 

京都パイルの工場が繁忙期を迎えています。

京都パイルの工場は5月のGW明けから、9月いっぱいまでが最も忙しい時期となります。じつは工場の稼働はかなり季節変動があるんです。

 

弊社の取扱うフロック製品は洋服で使用されることが多いのですが、フロックと言えば秋冬というイメージがあり、どうしても秋冬物の仕込み時期である夏場にオーダーが集中するのです。

 

また、輸出しているフロック生地は主に中東向けなんですが、中東と言えば「メッカ巡礼」に「ラマダン」。毎年、イスラム教最大の聖地であるメッカに世界中から数百万人ものイスラム教徒が巡礼のために集まります。その一番盛り上がるラマダンの時に販売されるおみやげで人気なのが、なんとフロック生地なんです! ラマダンは年によって日が変わるのですが、今年は6月28日から7月27日がラマダン期間となっています。なので、ラマダンに間に合うように、製造して輸送しようと思えば、5月のGW明けから忙しくなるのです。

こうした理由から、暑くなってきたな~と感じたら、工場は臨戦態勢! 忙しいのはありがたいことなんですが、現場はたいへんなんです。

パイルは細かな粉末状なので、風が吹くと飛ばされて仕事になりません。なので、窓は開けられません。もちろん扇風機だってダメです。エアコンはついていますが、広いので工場全体が均等に冷えるのは難しく、機械が動いている側はそりゃあ、もう暑いのなんのって! ダイエットしたい人は京都パイルにおいで(笑)

お客さまに喜んでいただける製品を作るために、今年の夏も頑張りますよ~!

フロック製品の出来栄えを目視チェックしています!

プリント植毛 №1!

京都パイル繊維工業株式会社

〒613-0034

京都府久世郡久御山町山新開地203

Tel : 0774-43-6666

Fax : 0774-43-4350

WEB site : http://www.kyotopile.com/

WEB siteは楽しい仕掛けがいっぱいです。是非、ご覧下さい!